※転生記憶有り×記憶なし
「知ってるかい、髙羽。無条件にいい匂いだと思う相手はね、前世で深い縁があった人らしいよ」
へえ~ふ~んそ~なんだ~、と軽く誤魔化せない凄みが相方から漂っている。
なんでこんなことになったんだっけ? なんで俺は羂索に押し倒されてるんだっけ?
コンビを組んで一年目が迎えられたことが嬉しくて、それをこうして一緒にお酒を飲みながら祝ってくれる相方がいるのも嬉しくて、ちょっとだけタガが外れたのは認める。返事はおざなりだったけど、べたべたくっついて絡む俺を引き剥がさない羂索のやさしさに甘えてたのも認める。きっと俺が悪かった。いくらお酒が入ってたとはいえ、いい匂いだったからとはいえ、抱きついて匂いなんか嗅ぐもんじゃない。落ち着く~なんてへらへらなついてた一分前の俺が悪い。羂索が嫌な思いしてたことに気づかなかった俺がぜんぶぜんぶ悪い。ごめん、ほんとに。もう二度としないから。
「別にいいよ、謝らなくて」
羂索がいい顔で笑ってる。なのになんでだろう、笑ってるのに全然許されている気がしない。おそるおそる、じゃあ手はなしてくれる……? と訊けば、それはダメと無情な答えが返ってきた。
「……まあ、そろそろ私の我慢も限界だって話だよ」
やっぱり怒ってるんじゃん! という俺の叫びは声になる前に羂索の口の中に消えた。
20240126